「インドの外にいる人は気づいていない」、現地音楽シーンの活況

先日、インドのエレクトロニックミュージックシーンの現状を伝える短編ドキュメントが公開された。ニュースメディア”Vice”のサブプロジェクトで世界のエレクトロニックミュージックシーンを伝える”THUMP”が制作した動画だ。インドのナイトライフシーンを有名DJのコメントなどと共に捉えた5分ほどの映像だが、冒頭のナレーションにとても共感した。そのナレーションは、今のインドのEDMシーンの盛り上がりが、インド国外でほとんど認知されていない現状について語っていた。

“インドの外でたくさんの人に会ったけれども、彼らがいかにインドを色眼鏡で見ているかに驚く。彼らは今のインドが20年前と同じではないということを分かっていない。今のインドのシーンは美しい。けれどもインドの外にいる人でそれに気づいている人はいない”

僕もデリーに住んでいる時に同じようなことを感じていた。ちょっと聴いただけで欧米並みのレベルだとわかる質の高いアーティストを見つけて、Facebookページをのぞいてみるとファンの数が数百人しかいない、なんてことはよくあること。もちろん彼らがインド国外のメディアに取り上げられることなんてない。

またインド国内でも彼らが能力に見合う待遇を受けているとはいいがたい。EDMではないが、Indian Oceanというインドのロックを代表するビッグアーティストがいるが、彼らがライブをするというので行ってみたら、ショッピングモールにある小さなバーだったので驚いたことがある。（それでもインドのロックのライブにしては、観客が多く盛り上がっているほうだった）。

僕はインドの音楽シーンは世界に通用すると思っているので、これからもどんどん紹介していきたい。ということで、今回はインドの人気音楽サイト”Wild City”が2013年に掲載したインドのおすすめEDMアーティストトップ10を紹介します。

10 – Sandunes
Sandunesは、Sanaya Ardeshirというムンバイに拠点を置く女性プロデューサーによるソロプロジェクト。インドだけでなく、スリランカやドイツなど国外での演奏経験も持つ。

9 – FuzzCulture
デリーを拠点とするFuzzCultureは、インドの人気ロックバンド”Parikrama”のドラムと”The Circus”のギターが結成したユニット。元のハードなロックサウンドからは割とかけ離れたダブステップを披露して話題を呼んだ。

8 – Apocalypse Meow
Apocalypse Meowは、ボーカルとベース、ギターの3人組のエレクトロユニット。目指すアーティストとして、Pink FloydやFrank Zappa、Massive Attack、Sigur Rosなどの名をあげている。

7 – Paralights
Paralightsは、インドのオルタナシーンでプロデューサーとして活躍してきたAyan Deによるプロジェクト。

6 – Mode7
“Mode 7”は、ムンバイで活動するエレクトロユニット”Bay Beat Collective”の元メンバー、Raphael Kablyによるソロプロジェクト。

5 – Frame/Frame
Frame/Frameはデリーを拠点にする音楽プロデューサー、Nikhil Kaulによるソロプロジェクト。Zero 7やMassive Attack、Beckなどエレクトロニックな要素のあるバンドが好みだという。2013年にはデビューEP”Swimmers”をリリースしている。

4 – Your Chin
ムンバイのバンド”Sky Rabbit”のフロントマンRaxit Tewariによるソロプロジェクト。2012年にリリースしたデビューEP ”Your Chin”は、キャッチーなエレクトロポップで、音楽誌にも好評を博したようだ。

3 – SnowShoe
“SnowShoe”は、Sky RabbitsのギタリストRahul NadkarniとドラムのHarsh Karangaleが2011年に結成したユニット。Sky Rabbitsの音とは異なる、ムーディーなアンビエントミュージックとなっている。

2 – East Stepper
“East Stepper”は、デリーを拠点にするベース・ミュージックプロデューサーAbhishek Jhaによるプロジェクト。インドの民族音楽とベース・ミュージックの要素を組み合わせたユニークなサウンドで、インドのクラブシーンでインフルエンサー的な存在となっている。

1 -_RHL (Sulk Station)
“Sulk Station”は、Tanvi RaoとRahul Giriの２人が2009年にバンガロールで結成したエレクトロニックデュオ。Raoのボーカルとミニマルなシンセサウンドが絡み合った彼らの楽曲は、ダブステップ、アンビエント的な音楽とインドのクラシック音楽が融合したサウンドになっている。