monsoonsiren

2015年も間もなく終わり。インドで今年にリリースされたインディーミュージックの中で、話題になった15曲を紹介します。

■アーティスト:Robot Koch feat. Curtain Blue
■曲:Let Me

デリーで活動する気鋭のエレクトロニックミュージシャンCurtain Blueと、ドイツのアーティストRobot Kochによるコラボ曲。協業のきっかけは、2014年にラジャスターン州で開かれた人気野外フェスMagnetic Fields Festivalで意気投合したことだという。

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■アーティスト:Monsoonsiren
■曲:Sullen Fables

OdeszaやTom Dayといった大物アーティストとコラボ曲を出してきたMonsoonsirenが、満を持して出したデビューEP。収録曲が大手ファッション誌「i-D」で取り上げられるなど、注目を集めた。Monsoonsirenことネイサン・メノンは、ベンガルール出身の20歳。ドリーミーで神秘的なボーカルが圧巻。

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■アーティスト:Tarana Marwah
■曲:Kyoto Breeze

デリー出身のキーボーディストTarana Marwahが今年2月に出したデビューEP「Komorebi」は、ジブリ作品にインスパイアされて作ったというエレクトロニカ。冒頭曲の「Miyazaki’s Dream」は、宮崎駿についての楽曲。今年の夏に彼女にインタビューした際、このEPについてもう少し詳しく聞いてみた。

「彼の映画は息をのむほど素晴らしい。この曲では彼の潜在意識を描こうとしたの。それと(4曲目の)”Kyoto Breeze”は、”千と千尋の神隠し”にインスパイアされて作った曲なんだけど、もしハクが千尋に歌を歌ったらっていうコンセプトなの」。

将来は映画音楽の分野に携わりたいといい、今後が楽しみなアーティスト。

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■アーティスト:Shaa’ir + Func
■曲:STAY

インドのシーンを代表するアーティストの一人、モニカ・ドグラがボーカルを務める2人組エレクトロニカユニットShaa’ir + Func。このミュージックビデオは、2012年にムンバイ郊外にある古いアパートで開かれたイベントで撮影されたもの。当時ムンバイでは、クラブやライブなどへの規制が厳しくなっていたため、こうした人気のない郊外の建物が会場として使われることが多かったという。

Soundcloud(Shaa’ir + Func)
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■アーティスト:Midival Punditz
■曲:Nadia

今年の作品の中でオススメをピックするならば、やはりMidival Punditzは外せない。1990年代後半にデビューして以来、インドのエレクトロニックミュージックシーンを牽引してきたベテランデュオは2015年、6年ぶりに新作をリリース。ラジャスターン州やパンジャブ州をはじめ、北インドの民族音楽の歌手たちとのコラボも聴きどころ。

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■アーティスト:Madboy/Mink
■曲:Sharaabi

ボリウッド女優として映画主演経験もあるサバ・アザドがボーカルのエレクトロポップデュオMadboy/Minkが、放ったセカンドEP。3曲目の「Sharaabi」は、英語の歌詞がスタンダードなインドにおいて、自国語のヒンディー語で歌った意欲作。英語で歌うより感情が込もっていて良いですね。

Bandcamp(Madboy/Mink)
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■アーティスト:Paraphoniks
■曲:Equinox

ムンバイ出身の3人組エレクトロユニット。クラシックピアノの素養があるShatrunjai Dewanやシンガポールでオーディオエンジニアリングを学んだAman Nathなど、多様なバックグラウンドを持つメンバーたちが放ったデビューアルバムの冒頭曲。

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■アーティスト:Charanjit Singh
■曲:Raag Bhupali

「アシッドハウスの元祖」として有名なミュージシャン、チャランジット・シンが今年7月に亡くなった。彼が1982年にリリースしたアルバム “Ten Ragas To A Disco Beat”は、当時発売されたばかりのローランド製のシンセサイザーを使った革新的な電子音楽として、今でも語り継がれている。無名のミュージシャンだった彼が伝説的なアルバムを作り上げた経緯については、こちらの記事で以前まとめた。

世界初の“アシッドハウス”はどのようにしてインドで生まれたのか?

今年リリースされた彼の曲はないけれども、追悼の意味も込めて1曲貼っておきます。2013年のMagnetic Fields Festivalでの演奏。中毒性高し。

iTunes(Charanjit Singh)

■アーティスト:The Ska Vengers
■曲:Frank Brazil

絶大な人気を誇るレゲエバンドThe Ska Vengersは、イギリスの植民地時代にパンジャブ州で起こった虐殺事件をテーマにした曲をリリース。これは、1919年にイギリス軍が2万人もの一般市民を広場に集めた末に、彼らを銃撃するという事件を扱ったもの。

個人的な話でいうと、The Ska Vengersはインドのインディーミュージックを聴き始めたきっかけにもなったバンド。今年はそんな彼らにインタビューできて良い記念になった。

インドのレゲエシーンを率いるThe Ska Vengersが語る、現地シーンの今、来日記念インタビュー

Bandcamp(The Ska Vengers)
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■アーティスト:Candy Cloud Conspiracy
■曲:Isn’t Just A Dream

Candy Cloud Conspiracyは、コルカタ出身の4人組ポップロックバンド。同じインターナショナルスクールに通っていた同級生同士で2013年に結成。確かに育ちが良さそうというか、華奢でインテリ風な雰囲気。

ドリーミーで耳心地の良いポップロックで、Teenage FanclubやTahiti 80あたりを連想させます。こちらはデビューEP「Make Believe」からの一曲。

Soundcloud(Candy Cloud Conspiracy)
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・アーティスト:Aditya Balani
・曲:Make It Right

デリーの人気シンガーソングライターAditya Balaniによるソロデビュー作。米ボストンの名門バークリー音楽大学を卒業した彼による楽曲は、日本のキリンジを彷彿とさせるポップロック。

Soundcloud(Aditya Balani)
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・アーティスト:Sandunes
・曲:Exit Strategy

Sandunesは、ジャズやファンク、トリップホップなどのエレクトロニックミュージックの女性プロデューサー。このミュージックビデオは、インド人アニメーターのNikunj Patelによるもの。インドのクラウドファンディング大手Wishberryを通して制作資金を集めたことでも話題になった。

インドの音楽シーンでのクラウドファンディング事情については、こちらの記事でも書いたけど、マネタイズが難しい現地シーンで徐々に重要な資金源になってきているようです。

クラウドファンディングが変えるインド音楽シーンの未来

Sandunes(Bandcamp)
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・アーティスト:Begum
・曲:Make It Till Four

デリー出身のロックバンドBegumは、ローファイでノスタルジックな雰囲気の楽曲が特徴。この曲のミュージックビデオは、8mmフィルムカメラのよう風合いに撮れるiPhoneアプリを使って撮影。ロサンゼルスのベニスビーチやサンフランシスコ、インド南部のリゾート都市ゴアの風景が、70年代風の懐かしい感じで写っています。

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・アーティスト:Frame/Frame
・曲:Flutter

Frame/Frameは、デリー出身のギタリストNikhil Kaulのソロプロジェクト。Radioheadの名盤「Kid A」に触発されてエレクトロニックミュージックを作り始めたという彼による今回の楽曲は、ウィスパーボイスが特徴のインド人女性ボーカルGarimaと再びタッグを組んだ作品。彼女は、Frame/FrameのデビューEP「Swimmers」でも歌っています。

Bandcamp(Frame/Frame)
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・アーティスト:Machli
・曲:Lavender Marriage

インドのシーンの中では2014年の時点で、期待の新人として話題になっていたベンガルール出身のバンドMachliが、満を持してリリースしたデビューEP。静謐で独特な雰囲気の漂う楽曲だが、彼らはそれについて「お金がなくてちゃんとした楽器を買えないから」と話している。録音も、メンバーの自宅のキッチンで行われたという。

Bamdcamp(Machli)
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