インド音楽の宝庫、20世紀初頭の音源が聴きまくれるアーカイブサイト
インド音楽ファンにとって、”The Archive of Indian Music”(AIM)は宝の山のようなサイトだろう。2013年7月に設立されたAIMには、1902年〜1952年の間に録音された古い音楽や演説のレコードがデジタル化されてアーカイブされている。収録されているジャンルは、インド南部のカルナティック音楽や北部のヒンドゥスターニー音楽、フィルムソング、フォークなど多岐にわたる。
AIMを設立したのは、バンガロール出身のノンフィクション作家Vikram Sampath氏。蚤の市やスクラップディーラーなどから、蓄音機で録音された古い音源を丹念にかき集めてデジタル化し、Soundcloudにアップしていった。
取り組みのきっかけは、19〜20世紀にかけて活躍したインドのレジェンド的な女性歌手Gauhar Jaanに関する伝記をSampath氏が執筆していた時。当時の音楽について調べを進めるうちに、貴重な音源が劣悪な環境にさらされていることに危機感を感じたからだという。
これまでに集めたレコードは約10万枚のうち、AIMの設立時にデジタル化されたのは1万枚程度とのことなので、今後アーカイブはまだまだ増えそうだ。
ここではAIMに収録されている音源の中から、いくつか代表的なものを紹介する。
1 – Gauhar Jaan
Gauhar Jaan(1873〜1930)は、カルカッタ出身の女性歌手で、インドで最初に録音されたレコードの歌手としても知られる。この音源は、1902年11月2日に録音されたもの。
2 – Bhimsen Joshi
Bhimsen Joshi(1922〜2011)は、南部カルナータカ出身のヒンドゥスターニー音楽のボーカリスト。伝統音楽一辺倒ではなく、それを大衆に伝えることを意識していたといい、ヒンドゥスターニー音楽のボーカリストとしては、最も多くのレコードを残した。
3 – Devika Rani
Devika Rani(1908〜1994)は、1930〜40年代に活躍した映画女優で、インドで最初の女性の映画俳優としても知られる。また1933年に出演した映画”Karma”は、インド映画で最も古いキスシーンがある作品一つとして有名だ。
4 – Abdul Karim Khan
Abdul Karim Khan(1872〜1937)は、北部ウッタル・プラデーシュ州出身のヒンドゥスターニー歌手。伝えられるところによると、当初彼はインドの伝統的な弦楽器であるサーランギーの奏者だったが、その地位の低さに堪え兼ねて、歌手に転向したといわれる。
5 – Mahatma Gandhi
言わずと知れたインド独立の父。この音源は1931年にガンディーがイギリス滞在中に録音されたスピーチだという。
※参照情報
・A music lover’s mission: An archive of Indian music (Music Feature)
・Gauhar Jaan
・Bhimsen Joshi
・Devika Rani
・Abdul Karim Khan
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