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インド旅行といえば、どのような行き先を思い浮かべるだろう?まずは首都のデリーや、その周辺にある世界遺産のタージマハル、ガンジス川が流れる都バラナシなんかが代表的なとこだろう。もう少しだけ踏み込むなら砂漠の都市ジャイプールや、マザーテレサの足跡が残るコルカタを選ぶ人も多いかもしれない。

いずれの場所もインドの雰囲気を存分に味わえる素晴らしい場所だと思う。けれどもインドを知る上で重要な点は、どの場所を選ぶかだけではない。あまり語られることはないけれども、どのような立場でインドを訪問するかもとても大事だ。経済格差が大きいインドにおいて、同じ日本人でも貧乏旅行をするバックパッカーと一流企業の駐在員とでは、対峙するインドの姿はまるで異なる。

「インド旅行」としてよく語られる内容は、前者のバックパッカー的な貧乏旅行だ。そこでは埃くさい安宿や路上の物乞いなど、インドがいかに貧しい国かが強調されるステレオタイプな旅が語られる(これはこれで楽しいけど)。
  
その点でいうと、今回紹介する音楽フェスでは、そういったステレオタイプとは違うインドを体験することができるのではないかと思う。一言でいうならば、そこは欧米化された金持ちたちが集まる世界だ。大学新卒の初任給が7,8万円程度のインドにおいて、チケット代に8000ルピー(約1万5000円)も払えるような若者たちが集まる。またこのようなフェスには、インド国内だけでなく、世界中から一流アーティストが集まるので、純粋に音楽を楽しむこともできる。

要するにフェスではこれまでとは違ったインドを体験できる上に、質の高い音楽も楽しめる。これがインドでのフェス巡りをおススメする理由です。

そこで今回はインドでも主要な6つのフェスをご紹介します。ちなみに最初に断っておくと、そのうち僕が実際に参戦したのは2つだけです。。。参加してないフェスをオススメするのはちょっと無責任かもしれませんが、いずれも代表的なものではあるので、情報の一つとして参考にしてもらえれば。

1.Sunburn Festival
インドのフェスといえば、まずはこのSuburn Festival。2007年にリゾート都市ゴアで始まったインド最大のエレクトロニックダンスミュージック(EDM)の祭典です。国内外から一流DJが集結する巨大フェスで、今年はオランダのAfrojackやMartin Garrixなんかが出演したようです。動員数は毎年増え続けていて、2013年では約16万人に上るといいます。日本のフジロックの動員数が約10万人ほどなので、それと比べるとどんだけデカイか分かりますね。現在はゴアだけでなく、ムンバイやデリー、デリー近郊のノイダなどでも開催されています。僕は2013年のノイダでのフェスに参戦しました。ただでさえダンス好きのインド人が本気出して踊った時の熱気はヤバかったです!(トップの写真はその時の一枚です)

2. NH7 Weekender
2010年に始まったオルタナロックフェスティバル。2011年にはCNNによって「インドのベストフェスティバル」に選ばれています。現在はデリーとバンガロール、コルカタでも開催されています。今年のラインナップはFrame/FrameBig City HarmonicsMadboy/MinkNanokThe Ganesh Talkiesなど、インドのオルタナミュージックの人気どころが顔をそろえています。動員数は毎年1〜2万人ほど。Sunburnと比べると見劣りしますが、インドではEDMと比べてロックは肩身が狭いので、これでもすごいのかなと。

3.Magnetic Fields Festival
Magnetic Fields Festivalは2013年に出来たばかりの新しいフェスで、西部ラージャスターン州にある砂漠都市で開かれている。エレクトロニカやオルタナロックだけでなく、ラージャスターン土着のジプシージャズやフォークのアーティストも出演する。

今年のラインナップは、海外勢ではメキシコのシンガーソングライターのGraciela Mariaなど。インド国内からは、Until We LastDualist InquiryMonica DograNischay ParekhSulk Stationなどメインどころが出演する。

入場者数の上限は500人ほどなので、かなり小さめのイベントなのだろう。ただ開催場所は17世紀に建てられた宮殿とかなりレアそうな場所。公式サイトのギャラリーを見ても雰囲気は良さそう。また朝にはモーニングヨガのようなプログラムもあるそうだ。小ぢんまりとしている分ゆったり音楽を楽しめるかもしれない。

ただ難を言えばアクセスが結構しんどいことでしょうか。開催地のアルシザー(Alsisar)は砂漠に囲まれた都市で、車でデリーから6時間、ジャイプールからでも4時間かかるそう。ただそれを乗り越えた先には、それなりに貴重な体験が待っていそうなので、僕自身はかなり興味のあるフェスです。

4.Rajasthan International Folk Festival
上3つのフェスとは打って変わって、こちらは伝統的なフォークミュージックのフェスティバル。開催地の都市ジョードプルは、旧市街の家々が青色に彩られており、通称「ブルーシティー」の愛称で親しまれています。街のすぐ外は砂漠が広がっていて、ちょっとおとぎ話的な雰囲気も漂っている。フェスとは関係なくかなりおすすめ度の高い街です。デリーから飛行機で1時間半ほどと比較的行きやすいですし。僕は観光で一週間ほど滞在したことがありますが、個人的にはインドで一番好きな街です。

しかもこのフェス、会場の環境もすごい魅力的なのです。演奏場所は、街の高台に15世紀に建てられたメヘラーンガル城の屋上で、ブルーシティーを一望できます。また開催時期は毎年10月の満月の夜。夜風に吹かれながら、丸々とした満月の下で伝統音楽を楽しむことができるとのことです。

肝心の音楽ですが、ラージャスターン州を中心に国内各地から約250人の演奏者たちが集結します。中にはかなり遠方の小さな村出身で、商業的なイベントで演奏するのは初めてというアーティストもいるそう。世界中からこのフェスを目的に観光客が訪れるので、この時期はジョードプルへの航空券の値段も上がります。参加するなら早めの計画が必要になりそう。

5.Delhi International Jazz Festival
少し遠方のフェスの紹介が続いたので、アクセスしやすいデリー中心部で開かれるものもご紹介します。こちらはニューデリーのネルーパークで開かれる国際ジャズフェスティバル。アメリカやヨーロッパ各国、アフリカなど世界中からアーティストが集まります(ジャズはあまり詳しくないのでどれくらい有名な人たちかはいまいち分からず。。。)。

開催時期は毎年3月と気温がちょうど良く過ごしやすい時期。僕も一度参加しましたが、芝生の上で転がりながら夜風に吹かれてジャズを聴く体験はとても気持ちよいものでした。デリーの喧噪をいっとき忘れられる貴重な時間です。

6.Storm Festival
南部のカルナータカ州ベンガルール郊外で開かれるフェス。主にEDMとオルタナロック系のアーティストが出演するようです。今年のラインナップには、Ankur TewariNischay Parekhなどの名前が並んでいます。

自然豊かな土地でキャンプを楽しみながら音楽を聴ける点をうたい文句にしたイベント。確かに公式サイトに掲載された写真を見る限り、結構緑豊かな場所のようです。テントと寝袋、キャンピングマットは貸し出してくれるそう。

だけど気になる点が以下の注意書き。「全てのテントは2人用なので、あなたが2人分のチケットを買わない限り、テントはシェアしてもらいます」と書いてある。ということは、奇数枚のチケット(人数)で行った場合、一人は他人とシェアすることになるだろうか。。。参戦した方がいたら、ぜひどんな感じだったか教えてほしいところです。

いかがでしたでしょうか?今のインドは野外フェスブームなので、今回紹介した以外にも数多くのフェスが存在します(ちょっと最近増え過ぎじゃないの?という声も)。よく言われるようにインドはすごく懐の深い国なので、行き先を変えれば、現れる世界もガラッと変わります。ちょっとハードルは高いけど、旅と音楽が好きな方はぜひインドのフェス参戦を検討してみてください。

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