インド少数民族の集落でフィールドレコーディング、タブラ奏者が放つジャズエレクトロニカ
インドの西部と南部に点在するシッディ族は、その昔アフリカから渡ってきた部族だ。
ある者は商人や船乗りとしてインドの地に流れ着き、ある者は奴隷としてポルトガル人によって連れてこられた。
人口5万人程度しかいない彼らは、インドの中では常にマイノリティとして存在してきたが、自身のアイデンティティーを失わず、かといって表立って周囲のインド人たちと対立することもなく、500年以上もしぶとく生き抜いてきた。
そんなシッディ族は、先祖から受け継いできた民族音楽を今でも奏でている。長らく口述で伝えられてきた故郷のスワヒリ語による歌詞は、もはや彼ら自身でも意味が分からないという。
シッディ族による民族音楽の魅力について、パーカッショニストのSarathy Korwarは次のように話す。
「彼らにとっての音楽は、単に小手先で演奏することじゃない。存在自体をぶつけてパフォーマンスすることだ」。
打楽器を中心としたシッディ族の音楽は、反復的で即興性がとても強い。10歳からタブラを演奏する一方で、ジャズにも魅了されてきたSarathyにとって、琴線に触れるものがあったのかもしれない。
ヒンドゥスターニー音楽の歌い手を両親に持ち、アーメダバードやチェンナイ、プネで生まれ育ったという彼。7月8日にNinja Tuneからリリースしたデビューアルバム「Day to Day」では、シッディ族の音楽をふんだんに取り込んでいる。
アルバムの制作にあたってシッディ族の音楽をフィールドレコーディングするために、彼は西部グジャラート州ラタンプールにあるシッディ族の集落を訪れた。
延々と繰り返される催眠術のような詠唱、異なるリズムで同時に演奏されるパーカッション。そういったシッディ族の楽曲をジャズと共に消化した彼の楽曲は、イギリスを中心に高い評価を受けている。
イギリスのガーディアン紙をはじめとするメディアで取り上げられたほか、2015年にはロンドンを訪れたダライ・ラマの前で演奏する機会にも恵まれた。Four TetやGilles Petersonといった人気アーティストからの注目も集めており、これからがとても楽しみなアーティストだ。
(※iTunesやBandcampからダウンロードできます)
Sarathyへのインタビューを実施しました。彼が感じるSiddi族の魅力やフィールドレコーディング時のエピソードなどを聞いています。
インド少数民族の音楽とジャズを融合させたSarathy Korwar、現地集落でのレコーディングを語る
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※参照情報
・Sarathy Korwar
・Sarathy Korwar and the music of migration
・Siddi
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