アーティストカタログ#036:Suman Sridhar
Suman Sridharは、ムンバイ出身の歌手。インドの伝統音楽やジャズ、ブルース、キャバレーミュージックなど多様な要素を盛り込んだ楽曲を歌う。マラーティー語のラップや、タミル語のスラングを盛り込んだ楽曲まで歌いこなす。オルタナミュージックファンの中では、ポップデュオSridhar / Thayil(S /T)のボーカルとして有名。S /Tは、インドのRolling Stone誌の2014年の特集の中で、「過去25年間のインドロックベスト25」に選ばれている。
現在32歳のSridharは、14歳の時にアメリカのニュージャージーに移住。現地の大学で音楽を専攻した後インドに帰国。詩人で小説家としても活躍するJeet ThayilとS / Tを結成し、2012年にデビューアルバム”STD”をリリースした。インドのRolling Stone誌はSTDについて次のように評している。
「ランドリーで洗濯しながら気軽に聴けるようなアルバムではない。ダンスフロアーで踊れる音楽であるわけではなく、ましてやタバコの煙を燻らせながら聴くジャズでもない(中略)。1曲目の”Here in the Morning”は、Sridharのシャープで舞い上がるようなボーカルに対して、ハスキーで唸るようなギターがサイケデリックな雰囲気を被せている」。
メディアからも評価され、ムンバイを中心に活躍したS / Tだが、現在は活動を休止。Sridharは活動の拠点をベンガルールに移し、ソロアルバムの制作に取り組んでいる。S / Tの休止についてSridharは、「私は規則正しく作品を作り続けることはできない。S / Tからは少し距離を置いて、自分の時間を取りたかった」と話している。
現在制作中のソロアルバムは、斬新なアレンジに取り組んだ意欲作だという。その中の1曲“Feio”は、ジャズ・トランペット奏者マイルズ・デイビスのアルバム「Bitches Brew」(1970年)に収録の同名曲をカルナーティック風のメロディにアレンジにした楽曲。スペイン語で「醜い」を意味するタイトルのこの曲で彼女は、いつも美しさを期待される女性の醜さを表現したという。この曲で彼女は、自身のボーカルと共に、サンプリングした虫やカエルの鳴き声を絡ませている。
「女性の声は美しくあれという常識があるからこそ、自分のボーカルであえてそれを表現する必要性を感じなかった。あるパートでは虫の鳴き声と自分の声が区別できないような表現にしている」(Suman)。
こちらは1956年公開のボリウッド映画”C.I.D”の収録曲”Jata Kahan Hai Deewane”のカバー。ランビール・カプール主演のボリウッド映画”Bombay Velvet”(2015年)で使われています。
Sumanのソロ曲。
2014年に行われた野外フェスZiro Music Festivalでの演奏。
■Suman Sridhar
・Vimeoチャンネル(Suman Sridhar)
・Soundcloud(Suman Sridhar)
・Facebook(Suman Sridhar)
※参照記事
・The One Too Many Voices Of Suman Sridhar
・Sridhar/Thayil: “We haven’t had our limbs broken. Yet.”
・Sridhar/Thayil – STD
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