インドで楽しむ、山奥での野外音楽フェス、出演アーティストが語る現地の熱気
今のインドで、フジロックのような野外音楽フェスが大ブームになっていること、実際にインドに住んでみるまで知らなかった。
というより、そもそもボリウッドソングの国だと思っていたインドで、ロックやエレクトロといった類の音楽がこんなに盛り上がっていること自体、想像していなかった。
今のインドでは、ダンスミュージックやオルタナミュージックをはじめ、大小様々なフェスが毎年のように現れては消えていく。ブームでニーズはあるから立ち上げたものの金銭的に続かない、というケースが多いらしい。
そんな風に乱立する野外音楽フェスの中でも、いつか行ってみたいな〜と前から思っていたメジャーなフェスがあった。
北東部の山あいで毎年9月に開かれるZiro Festival of Musicというイベント。観客数は約3,000人とかなり小規模ではあるものの、毎年のラインナップに目を通すと、インドのインディーシーンを代表するアーティストたちが顔を揃えている。2013年にはソニックユースのメンバーも出演している。
なにより標高2000メートルほどの山々に囲まれたジロは自然が豊かで、こんな場所で音楽を楽しめたら気持ち良さそうだ。フェスに行きつつ周辺でトレッキングもできる。
音楽フェスに参戦しつつ、現地の自然やカルチャーも楽しむ。すごい贅沢でオリジナルなインド旅行になりそう(開催地のジロは最寄りのグワーハーティー国際空港からかなり遠く、車や列車を使う必要があるので、有料のトラベルパッケージも用意されています)。
ちなみに開催地のアルナチャル・プラデシュ州は、インドの地図でいうとココ。中国に隣接したエリアで、領土的にインドとはいえもはや東アジア。実際にアパタニ族という現地の先住民族は、モンゴロイド系で日本人に近い容姿をしている。
今年こそは参戦したかったのだけれども、諸事情によって断念。
そんな時Facebookを眺めていると、以前このサイトでインタビューさせてもらったムンバイのオルタナバンドKoniac Net(コニャック・ネット)のボーカル、デービッド・アブラハムの投稿が目に入ってきた。
「Ziroでのプレイはこれまでにないくらい最高だった」とある。
今回のフェスにKoniac Netとして出演していたよう。早速彼に連絡して、今回のフェスでの体験について色々聞いてみた。彼らが現地で撮った写真もたくさんいただいたので、合わせてご覧ください。
Q:フェスの開催地のアルナチャル・プラデシュ州(AP)は、かなり自然がきれいな地域みたいですね。(Koniac Netの拠点の)都会のムンバイとは正反対の場所だと思うけど、印象はどうでしたか?
A:ムンバイはインドの中でも独特な場所だと思うよ。様々なバックグラウンドや人種、宗教を持つ人たちが集まっていて、アメリカでいえばニューヨークみたいかな。ものすごくノイジーで人が多くて空気も汚い。AP州のように自然豊かな場所とは程遠い。
一方でAP州は、ピースフルでどこにいっても美しい景色が遠くまで広がっている場所なんだ。すごく穏やかな気分になれるよ。でも車のドライバーが5秒ごとにクラクションを鳴らすのはムンバイと同じだったね。
現地の人たちもすごく暖かくてすばらしかった。だから今回はここで演奏できてとても嬉しいよ。
Q:あなたはこれまでインド国内や海外で数多くのギグをこなしてきたけど、Ziro Festival of Musicでの演奏で何か特別な点はありましたか?
A:特別な点といえばオーディエンスだね。当日の僕らのセットやパフォーマンスはかなり満足のいくものだったけど、それにしてもオーディエンスの反応は凄まじくて、これまでにない演奏を経験できたよ。本当に信じられない。
当日に僕らを初めて知ったような観客たちがステージに飛び乗ってきたりしてね。これ以上ないくらいの反応だったよ!フェスが終わった後もいまだにファンからの感謝のメールや、来年も戻ってきてほしいっていうメッセージが毎日届くんだ。
Q:ほかにも何か想い出や印象に残ることはありましたか?
A:数え切れないくらいあるけど、やっぱり周りのみんなと楽しい時間を過ごせたことだと思う。
ZFMの素晴らしいところは、ミュージシャンとファン、運営者たちがみんなで一緒になってフェスを楽しんでいたことなんだ。一つの大きな家族みたいにね。グループや立場によって区切られるなんてことがないんだよ。
音楽と現地のライスビールやライスワインがあって、みんなが幸せそうだった。今回の旅がより印象的なものになる光景だったな。
Q:今回はKoniac Netのほかにも、多くの人気アーティストたちが出演しています。いくつかオススメを教えてください。
A:バンドのメンバーたちとも話してたんだけど、今回のフェスのラインナップは完璧だと思う。様々なジャンルのインディーアーティストたちを紹介するというZFMのコンセプトにぴったりなミュージシャンばかりだった。
個人的にはNicholsonやNorth、F16’sの演奏を楽しんだけど、どのバンドも本当に良かったよ。
Q:少し話しは変わるけど、現在インドでは次々に新しい野外音楽フェスが立ち上がっています。リスナーとミュージシャンがつながる機会が増えたりして良い傾向だと思いますが、課題も多そうです。この現状についてどう考えますか?
A:確かに音楽フェスへの注目はものすごく高まってる。けれどもフェスのオーガナイザーにとって、イベントを続けることは本当に難しいんだ。資金繰りが厳しくて、多くは純粋に音楽が好きだからやっている状態だよ。
だからこういったフェスにもっと多くのオーディエンスが参加するようになれば良いと思う。インドでインディーミュージックがメジャーな存在になるには、まだ時間がかかりそうだね。
それと今こそインドのバンドを海外に向けてアピールしていく必要もあると思う。
Q:Koniac Netとしての最新作は2014年にリリースしたEP「Abiogenesis」ですが、次回作について教えてください。
A:制作を進めているところで、すでに4曲出来上がってるよ。そのうち3曲はZFMでもプレイしたんだ。次回作は4〜5曲くらいのEPとしてまとめるつもりだったんだけど、今はもう少し増やして8曲にする予定だ。「Abiogenesis」みたいにオルタナロックやハードロックの要素が強いかな。
■Koniac Net
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